買い物でカートをぶつけ合うおばさんたちの攻防戦

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この世界に真の平和はいつになったら訪れるのだろうか。みなに平等で住みよい社会を目指し、私は日々、こうしてブログを書いている。そのようなグローバルな視点でウォッチングを怠らない私の行動範囲に、スーパーライフはある。低所得者御用達、地域密着都市型スーパーマーケットだ。そんな愛用のスーパーで起こる一番多い問題が、カート同士のぶつかり合いだ。通称カートアタックと呼ばれる問題。カートアタックとは、買い物かごやカートでぶつかってくる攻撃のことを指す。その主な原因は東京都内のスーパーが、郊外の店舗よりも通路が若干狭いことにある。ちなみに私が先ほど目撃した、カートアタックの一部始終はこうだ。

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平和的解決となった

結果からいうと、小競り合いにはならずに平和的解決を得た。それもそのはず、近くに私がいたからだ。こう話すと、上から目線で恐縮だが、私の笑顔と余裕のある態度が結果的に功を奏したと思われる。やれやれ、これでまた一つ、期せずして争いを解決してしまったわけだ。事件は起きてから動くのではなく、事件が起きる前に動くことが悪を滅ぼす警察の役目ではなかろうか。と、自慢話はそのくらいにして、私が目撃したカートアタックはこうだ。

買い物でカートをぶつけ合うおばさん

生鮮食品コーナーの狭い通路で、一人の老婆がカートを止め、ポリ袋を広げ、玉ねぎを入れようとしていた。そこに後方から別の老婆がカートを押しながら歩いてきた。もちろん狭い通路なので、大きいカート同士、すれ違うのがやっとだ。私はその通路付近にある1パック50円の納豆を入手したい一心で、二人の老婆に近づいた。その刹那、後方から迫る老婆のカートと、ポリ袋を持った老婆のカートがガッチャンコした。二つのカートは数珠つなぎとなり、ポリ袋を持った老婆から離れて行った。

 

私の気持ちは納豆に、ポリ袋を持った老婆の気持ちは玉ねぎに、後方から来た老婆の気持ちは、ただひたすら前方へと向けられていた。ど、どこに向かうんだ!おばあちゃん!私は思わず声を掛けようとした、矢先。ポリ袋を持った老婆がカートのぶつかった衝撃でよろめき、とっさにカートに手をかけた。キッと睨みを利かせる老婆。

 

幸か不幸か、私はちょうど二人の老婆が重なった間に割り込むような形で挟まってしまった。そう、喧嘩の仲裁をするかのように。私は笑顔で会釈しながら二三歩後ずさる。ビックリなのは後方から来た老婆だ。その老婆は誰とも目を合わせず、睨まれようが、会釈されようが、お構いナシといった風情。

 

き、肝の座り方が違う。どれだけの修羅場をくぐり抜けてくれば、こんなにも動じない山のような精神力を身につけられるのだろうか。私は唖然とした。ポリ袋を持った老婆も、一瞬でそのラオウのようなオーラを察知したのか。また何事もなかったかのように、ポリ袋を広げ、玉ねぎを詰めだした。私はその玉ねぎと、悠然と去っていく老婆の背中を交互に見つめ、何事もなくて良かったと、ホッと胸をなでおろした。

 

地域の治安を守る、それが私の使命ではないか。前世は警視総監だったのかもしれない。そんなどうでもいいことを考えながら今日も帰路に着くのだった。