労働現場は今日も地獄の戦場だった
声を枯らして叫ぶ「いらっしゃいませー!」「ありがとうございましたー!」今日も性の労働現場は地獄の戦場だった。
労働現場は今日も地獄の戦場だった
一向にやまない客たちの来店。今日の私はいつもと違う、忙しい店舗に派遣されていた。「お店は生き物」とは、良く言ったもので、オープンしてからラストまで開店したが最後、お客の流れを誰も止めることはできない。男子スタッフが足りなかろうが、女性スタッフが休憩を欲していようが、一度動き出したお店は戦場と化す。まるで東京中の男どもが来店してきているかのごとく、スケベ男でごった返す店内。女性スタッフたちは「いい加減、エレベーター止めてよ!もう!」と、怒りを露わにする。それを聞く私は苦笑い。
私の任務、初めにやらなくてはならない業務は、客を所定の場所まで案内してからお茶を出すこと。しけし!お茶を出して、下げて、洗う、工程が忙しすぎてままならないという問題に直面した。であるから私はグラスを一回一回洗わないことにした。仕方のないことだ。でないと回らないからだ。お客には悪いが、お茶を入れたグラスは使い回しを使ってもらうことにする。汚い?不衛生?バカを言ってはいけない。このような大人のお店で出されたお茶を飲んではいけないことくらい、遊びなれた大人であれば常識中の常識だ。だって下手すりゃコップを片付けてる余裕がないんだから。忙しすぎてコップを洗えないのは、私のせいではなく、従業員をこき使う店側に問題があるのだ。
繁盛店の労働現場は、まさに戦場という名に相応しい地獄絵図だ。まるでザーメン搾り取り工場だ。牛舎で搾乳機をつけて乳搾りをする牛たちを連想させる。あっちでピュッ!こっちでピュッ!男子スタッフは爆音響く店内で、アップテンポなBGMに負けないように大声を張り上げる。「らっしゃせー!」「あしったー!」私、喉痛くなった。これを例えるなら、昼どきのサイゼリヤ。注文がひっきりなしに入ってくる。誰か止めてー!そんな妄想をしていたら、また結婚指輪を薬指にはめた客が来た。「結婚してんならさー、妻さんとやればいいのにね!」私は心でそうつぶやきながら「こちらへどうぞー」と、客を促した。所定のところまで案内すると、今度は洗ってないコップにお茶を入れて出した。すぐに客はそれを飲んだ。グビり。「あっ」、私の中にある良心がチクリ、罪悪感を覚えた。と、考えるのも束の間、次の客のおでましだ。頑張って働いている感じよりも、惰性で動かされてる傀儡に似た感じ。「お金さえあれば、こんな店すぐにでも辞めてやるのに!」…だけど、そんな当てもない私には歯を食いしばってもすがるしかない。悲しい労働者なのだ。
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