毎日12時間以上の長時間労働、40歳手前の絶望をインカジで働く友人から聞いた
私には27歳頃に錦糸町のフーゾク店で知り合った友人がいる。彼は私よりも2つ年上の今年で40歳。
毎日12時間以上の長時間労働、40歳手前の絶望をインカジで働く友人から聞いた
昨日の夜、私は彼と久しぶりに電話した。彼は今年の3月までタクシー運転手をしていた。そして1年と持たなかったタクシー運転手を辞め、先月あたりから新宿歌舞伎町のインカジで働き出したとのことだ。インカジは賭博行為で逮捕起訴されると1ヵ月以上は拘留される、れっきとした犯罪行為に該当する。私も数年前、歌舞伎町のインカジで働いたことがある。私の場合は馬が合わず、1日で退職した。しかし彼は1日12時拘束昼夜勤交代制にもかかわらず、割と平気だという。
彼には体力があるのだ。錦糸町フーゾク時代から彼は長時間労働には慣れていたのだ。私もその頃はまだ20代で働き盛りだったけど、彼には遠く及ばなかった。そんな彼も今年で40歳を迎える。「昼間のまともな仕事はもう諦めたよ」彼は私に何度もそう言った。
1日12時間労働で1万6千円の日払い。彼は先月、仮想通貨で20万円の損失を出した。20万をものの5秒で失ったと、レバレッジを100倍にしたら、一瞬だったと言った。タクシー運転手をしながらコツコツ貯めた20万を失って、貯金がない。だからインカジで働いているのだと言う。彼には夢があった。結婚して子どもを作って家族で暮らすという夢が。
頑張っても報われない社会が現実にある。学歴もこれといったスキルもない40歳は、どこも雇ってくれない。彼から、飾る言葉も、シャレもない、夢もない、そんな話を1時間以上にわたって聞いた。
彼は犯罪者予備軍なのか犯罪者なのか。そんなことは愚問だ。今を生きるために精一杯の努力をしている彼に私は何と言えばいい。私は彼に何と言ってあげればいいのか、真剣に考えた。相手の立場に立って、相手の目線になって考えた。まず彼は仕事が終わって1万6千円の日払いをもらい、夕方の歌舞伎町から高田馬場にある部屋に戻る。道中、腹が減ったので馴染みの中華料理店に入店。腹を満たし、次にすることは…。私はここまで想像してそれ以上の答えに窮した。彼との長電話を終え、私は思った。私はいったい彼の何を知っているのだろうかと。10年以上付き合いのある、彼のいったい何を知っているのだろうかと。恐らく何も知らないのだ。ただ単に部屋が異常に汚いとか、長身、おっぱいのデカい女が異常に好きとか、しか知らないのだ。
私は思った。絶望には絶望で返すしかないのだと。絶望の絶望返しだと。絶望した人間には同じような絶望した人間が必要なのだと。しかし、絶望とはいったい具体的に何なんだ。彼の病を治す方法があるのか。考えれば考えるほどさっぱりわからない。
コメントはこちら
コメント一覧
まだ、コメントがありません