ブックオフは店員の魅力をオンにする
ぼくはブックオフによく行く。
家の近所にもあるし、仕事場の近くにもある。なんなら背表紙のタイトルを眺めているだけでも楽しい。店員さんも魅力的な人がいて、観察していても楽しい。新しい未知なる本との出会いがあるともっと楽しい。
ダンディーな「いらっしゃいませ」
ダンディーな声が後ろから聞こえてきて思わず振り向いた。
「いらっしゃいませ」
彼は同じセリフをもう一度、繰り返した。
低音の効いたバス。
重厚ないらっしゃいませにやられた。顔は?ぼくはダンディーな声の主を見た。頭髪がほどよく禿げ上がった細身の店員さんだった。顔じゃない、男は顔じゃない。痺れるような低音を響かせた声に痺れる。
彼は辞めてしまったのか、それとも別の店舗に移動してしまったのか、今ではその店で彼を見かけることはない。残念だ。
ブックオフに告ぐ、貴重な人材を生かしてほしい。ぜひとも。
シアワセーと言う店員さん
「シアワセ―」
「いらっしゃいませ」が「幸せー」に聞こえるブックオフの店員さんがいた。彼はぼくに向かってたしかにそう言った。音域はテノールだった。
ブックオフは店内に音楽が流れている。有線かと思いきや、ラジオのDJの曲紹介が同じ口調とセリフで、曲の合間に挟まる。邪魔ではないが、「あっまた同じのがかかってる」と、そのセリフが流れるたんびに思ってしまう。
DJの美声。本に集中していても、意識がいい声にもっていかれる。ぼくの前世はウサギだったのだろうか。良い音は耳が勝手に拾ってしまう。
大塚ブックオフ三人衆
若い店員さんが3人で話し合いをしていた。
ぼくは思わず聞き耳をたてる。何やら本かCDかDVDかの並べ方の話をしているようだった。作者順に並べるか、それとも出版社順が分かりやすいか。新人にもわかりやすいのはどっちか、とかそんな内容だったような気がする。
ぼくはその3人を大塚ブックオフ3人衆と名付けた。でも名付けたはいいが、彼らの顔を忘れてしまった。おのれの記憶力とはこの程度なのだと痛感した。昨日の昼飯何食べた?、、、出てこない。脳のシナプスは完全に切断されている。
後日、ブックオフ大塚店の商品の並びが変わっていた。
あの三人衆が仕事をしたのだと思った。CDを全面的に押し出した配置に変化している棚を見て、CDを売りたいんだなと、あの三人衆はCDが売りたかったんだなと、彼らの意図を読み取ったつもりになった。このシナプスの切れた頭で。
未知なる店員さんに出会える場所、彼らの魅力が光る場所、それがブックオフ、ならぬ、ブックオン。DJ の軽快な曲紹介が始まった。
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