新型コロナ感染拡大でも職業訓練校に行くしかない

初日の入所式、私は1時間の大遅刻をした。

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新型コロナ感染拡大でも職業訓練校に行くしかない

遅刻がなぜ問題なのかというと、遅刻を1回でもすると給付金の10万円がもらえなくなるのだ。しかし問い合わせてみると、今回は高速道路が10km以上の事故渋滞であったため事なきを得た。運がいいのか悪いのか。

職業訓練校の各教室には20人~30人ほどの人間が詰め込まれている。マスクをしている人もいれば、していない人もいる。密集、密室、密着。いわゆる3密が問題視されているが、完全にクラスター発生の共通点にマッチしてしまっていることがわかる。


そうかと思えば、那覇市のハローワークでは職員のおじさん数名がマスク無しで業務にあたっており、他の職員たちと談笑している始末。なぜおじさんはマスクをしないのか。恐らくマスクがないのではなく、嫌いだからしないだけなのだと思う。冗談じゃない。これでは談笑しているマスクをつけた職員の女性と、マスク無しおじさんとの濃厚接触になってしまうのではないか。羨ましい。密閉、密室、密接、密集、密着、密会。いわゆる6密というのは、男女が愛を育むために存在している空間である。それが今や国からの自粛要請によってタブーになろうとさえしている。困ったものだ。私など不要不急の自慰ばかりしているので安全だが、ニュース番組で流れる不要不急の外出という文字が外だしに読めてしまい困っている。人間は禁止されればされるほど、逆に燃える生き物なのだ。


幾度かハローワークに通い、今度は職業訓練校に通うことになった私は、訓練校の若い人たちと久々に交流が持てることに内心喜んでいた。家にずっと引きこもって勉強ばかりしていると人と話したくてしょうがなくなるのだ。しかし今は新型コロナの影響であまり人と積極的に会話するは憚られる。不要不急の会話はNGである。だからなのか、私は一切誰とも口を利かず職業訓練校を後にした。話したことと言えば、すいません、遅れました。くらいだ。冗談じゃない。


一瞬だけ教室を見回したとき、女性が何人かいたのが目に入った。マスクをしているので美人かどうかは判断できかねたが、若い女性であることには間違いないと直感で感じた。私が次に生まれ変わるとしたら美人のマスクに生まれ変わりたい、などとひとり妄想に耽っていた。マスクも誰に使用されるかで天国と地獄を見ているのかと思うと、人間である私も不平等で不公平感の強い日本社会への反発心も少しは和らいだ。気づけばあっという間に初日のカリキュラムが終了していた。私は真っ先に家に帰るしかなかった。来週こそは人と話せるといいなと思う。